
従来の実生ゆずは樹高が数メートルに達し、高齢化が進む農村部においては収穫作業が大きな負担となっています。当法人では、この課題を解決するため「低木栽培」に関する調査研究を実施しています。
調査では、剪定方法、植栽密度、台木の選択、土壌条件、施肥体系など多角的な要因を検証し、樹高を抑制しつつも果実の収量や品質、さらには機能性成分の保持に影響を与えない栽培技術を模索しています。また、わい性台木や接ぎ木技術を応用した実験も進めており、樹勢制御と収穫効率の両立を目指しています。
低木栽培の確立は、放置樹の解消や耕作放棄地の活用、高齢化社会に適応した持続可能な農業モデルの提示につながります。さらに、地域住民や次世代が安全に関われる形での資源利用を可能にし、実生ゆずの文化的・経済的価値を次代へと受け継ぐ基盤となることを期待しています。