2025年6月から7月にかけて、高知県北川村地域において実生ゆずの耕作放棄地に関する現地調査を行いました。本調査は、放置された実生ゆず畑の現状を把握し、土地再生の可能性と課題を明らかにすることを目的としています。
調査の背景
北川村は実生ゆずの主要な産地として知られていますが、近年は農業従事者の高齢化や後継者不足により、管理が難しくなった畑が耕作放棄地として増加しています。これらの土地は雑草や竹林に覆われ、土壌劣化や害獣被害を招く一方、適切に再生すれば地域資源として大きな可能性を秘めています。
現地の様子
調査時期の6月から7月は梅雨の降雨と夏の高温が重なり、雑草や竹の繁茂が顕著でした。
多くの放棄地では果樹が高木化して収穫不能となり、一部の樹木は枯死していましたものの、根を深く張った実生ゆずは健在で、強い生命力を示していました。
適切な剪定・管理が施されれば、再び収穫可能な園地としてよみがえる可能性が確認されました。
農家の声と課題
調査の中で、地域の農家や関係者から以下の声が寄せられました:
- 高齢化により収穫・剪定が困難になり、放棄せざるを得なかった
- 高木化した樹木は危険で、作業の安全性が確保できない
- 再生には人手と資金が必要であり、地域だけでは負担が大きい
- 一方で「ゆずの香りや品質を未来に残したい」という強い思いも共有された
今後の展望
本調査により、北川村地域における耕作放棄地の実態と再生の可能性が明らかになりました。
当法人は、低木栽培技術の導入やボランティア・地域連携による管理支援を通じて、実生ゆず畑を「放棄地」から「資源」へと転換する取り組みを推進してまいります。
耕作放棄地の再生は、地域景観や防災面での効果に加え、地域経済の持続可能性を高める重要な課題でもあります。
今後も現場の声を大切にしながら、調査研究と実践を両立させ、実生ゆずが未来へと受け継がれる基盤を築いていきます。