自然も社会も「全体性(ホールネス)」を無視しては成り立たない
ゆずを通じて出会った高知県の山間の里で、実生ゆずを長年育ててこられたご高齢の方々のお声に耳を傾けるなかで、やむを得ず放置せざるを得ない現状を知りました。そこで私は、実生ゆずの優位性を検証し、その価値を高めるアップサイクルの取り組みこそが、自らに与えられた使命であると確信するに至りました。幾度となく壁にぶつかり、悩み、手探りで歩んできた道のりでしたが、それでも進み続けることができたのは、千年の時を超えて生き続けてきた原種・実生ゆずに、現代の私たちが学ぶべき大切な教えを見出していたからにほかなりません。
その教えとは、自然も社会も「全体性(ホールネス)」を無視しては成り立たないということです。実生ゆずは、果肉や果汁はもちろんのこと、皮も種もワタまでも有用な成分に恵まれ、捨てるところがありません。また、地中深く根を張りめぐらせる実生ゆずの森が健やかに保たれることで、里山は地崩れすることなく、美しい景観と豊かな実りを次世代に伝えることができます。
経済効率だけに目を奪われ、「木を見て森を見ない」愚かさを、実生ゆずは静かに私たちに教えてくれているのです。
今後とも、当法人の活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
理事長 岡山 栄子
岡山栄子プロフィール

有限会社re・make代表取締役・ゆらぎスタイル主宰。2000年にリフレクソロジーサロンを開業、セラピストとしてのキャリアをスタートし、2005年に法人化。
2009年に地元・箕面の地域資源「実生ゆず」と出会い、その成分を生かした製品開発をスタート。同時に地域で未病ケアに取り組む人材を増やすことを目的とした「yuragistによる心身の健康増進サポート活動事業計画」で、大阪府より経営革新企業の承認を受ける。
2012年オリジナルブランドWILD YUZUの第1号商品をリリース。2019年には「日本未病ケアスクール」を設立し、事業の幅を広げている。
2025年「特定非営利活動法人 実生ゆずアップサイクル研究所」設立。
著書
病気にならない「ゆず」健康法
(2017年 PHP文庫より刊行)